前週号からの続きです。
FRBとは米連邦準備制度理事会のことです。 連邦準備銀行もFRB(Federal Reserve Bank)ですが、連邦準備制度理事会では、公定歩合・支払準備率・公開市場操作などの金融政策 を行います。 FRBは日本の日本銀行と同様、アメリカの中央銀行に相当する機関 です。
以上は一般に目にする(耳にする)FRBについての説明の内容です。
これは非常にトリッキーです。
Federal Reserve Bankは実は民間銀行なのです。
政府銀行ではないのです。
だから、本来「連邦準備銀行」と訳されるべきではなく、固有名詞の「フェデラルリザーブバンク」と呼ばれるべき銀行です。
さらに、中央銀行の機能について重要なことを知っておく必要があります。
それは紙幣を印刷する権限です。それは「通貨発行権」と呼ばれる強力な権限です。その権限によっておカネを自由に作ることが許されています。
通貨を発行すると国家には課税と同じ貨幣の発行利益(シーニョレッジ=seigniorageと呼ばれています。)が生じます。このシーニョレッジの利益とマネーの発行量は同じです。
銀行の歴史に加えてFRBについて知っておくことは”How to Turn Thin Air Into Money” (「空気をおカネに変える法」)において非常に大事な背景です。
銀行と同じように私たちも” Turn Thin Air Into Money”ができないかと考えたのがことの始まりです。
そして、それはデリバティブを利用することで可能です。
ただし、ここで私の言うデリバティブとは「数理的な自由」を意味します。
金融には“からくり”があります。
私が“カラクリ”という言葉を使うとき、それは隠れたあるいは一般に知られていないメカニズムや機能を意味しています。決して悪い意味でその言葉を使っているわけではありません。
しかし、金融の世界に存在する“カラクリ”には人を欺くような要素が含まれていることも否めない事実なのです。
そこで、今度はもう一度FRBの話をします。“FRB”は英語の”Federal Reserve Board”の頭文字をとったものです。日本語で「連邦準備委員会」と訳されています。米国の中央銀行で日本のBOJ(Bank of Japan=日本銀行)に相当すると一般に理解されています。ところが、「連邦準備委員会」という訳語がそもそも間違いなのです。日本語訳が間違っているという意味ではありません。訳すこと自体が間違っているという意味です。非常に紛らわしいのですが、そして、その紛らわしさに意図的なものを感じずにはいられませんが、”Federal Reserve Board”は一般名詞ではなく固有名詞なのです。つまり、人の名前と同じです。例えば、“Mr. White”という男性がいるとします。日本語でも「ホワイトさん」と呼ぶでしょう。「白さん」とはいいませんね。それと同じです。”Federal Reserve Board”は「フェデラルリザーブボード」という名前なのです。それは連邦(アメリカ合衆国は連邦国家なので、日本の国立に相当するのはfederalという単語です。)によって所有され運営されている組織ではなく実は民間なのです。
私がなぜ上述の話を紹介したのか・・・その理由は金融の世界には一般に知られていない“カラクリ”が存在することを知ってほしいからです。
一般に「金融」という言葉には専門的な響きがあるように感じられます。
以下は「金融」についての説明です。
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様々な経済主体が活動を行う際、常に資金が不足する者と資金が余剰する者とが生じる。金融は、その両者を結び、資金が必要とされるところへ配分させる機能をもち、これにより両者には金銭上の債権債務関係が生じる。金融活動は、資金の「調達」・「配分」・「投資・融資」の3区分として捉えられている。国内の政府・地方公共団体・事業法人・金融法人・非営利法人などの組織から個人に至るまで、あるいは国境を越えて異なる通貨単位間で為替を通じて国外の諸経済主体との間で、さまざまな経済主体が資金を調達し使用することによって生じる、経済の資金流通全体のことを指して「広義の金融」と呼ぶ。総称して「金融システム」と呼ばれることもある。また、空間上の資金の流れを指す「為替」に対する概念として、時間上の資金の流れを指して「金融」と称される場合もある。いわゆる「広義の金融」ないし「金融システム」には、政府や自治体の財政、企業活動から個人の家計まで、国内はもとより複数国の経済主体間において金融の一部として含まれるため、「金融は経済の動脈」「金融は経済の血液」などと称されるほど、経済の安定・発展に欠かせない重要なものと捉えられている。 (以上、『ウィキペディア』より引用)
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上述の説明は私にとっても易しいとは感じません。そのような説明を紹介したのは、逆説的ですが、金融についてそれほど難しく考える必要はないということを伝えたいからです。
私は「金融」を“マネー”に関わること全般という意味で捉えています。実際、英語の“money”には「おカネ」(貨幣)以上に広い意味があります。英語の“monetary”という単語は「金融の」という意味ですが、”money”から派生したものです。
「金融には“カラクリ”がある。」と述べました。
私は今日では“マネー”そのものが“カラクリ”であると考えています。この“カラクリ”とはしくみであり金融におけるある種の装置です。
そこで“デリバティブズ”について述べます。
“デリバティブズ”は英語でderivativesであり、“derivative”は「派生の」という意味の形容詞で金融の世界では「金融派生商品」を意味しています。日本語ではカタカナで「デリバティブ」とも呼ばれています。これを単に訳語の「金融派生商品」としておぼえ理解すると本質が見えなくなります。
私は“デリバティブズ”を“カラクリ”としてイメージしています。
そして、今日の“マネー”を“デリバティブズ”と同列において扱っています。
そう、今日の金融社会において本物ではなくなった“マネー”は“デリバティブズ”といっていいのではないかと私は考えています。